かつて、ある工場で社会心理学の実験が行われました。それは、工場における職場環境と作業効率の関係を探ろうとした試みで、照明を明るくすると作業効率が上がり、暗くすると作業効率が下がるだろうという予測のもと、行われた実験でした。ところがその結果は当初の予想に反し、照明を暗くても作業効率が上がってしまったのだそうです。
なぜ、照明を暗くしたにもかかわらず、作業効率が上がったのか――それは、工員たちが実験のために観察されていたからだったのです。彼らは他人から注目を浴びていることを強く意識したために、仕事に対するやる気が高まり、照明が暗くなるという職場環境の悪化にもかかわらず、作業効率が高まってしまったのだと考えられました。
これと同じような経験は、子どものころにあるのではないでしょうか。小学生のころを思い出してみてください。授業中、先生が教室を見回っているときに、自分の机のところで立ち止まり、勉強する様子をじっと見つめてきた・・・なんて経験はありませんでしたか? そしてそんなときは、なぜかいつも以上にやる気を見せたくなったということ、ありませんか? 人は他人から注目をされていると思うと、やる気を出したくなる心理が働くものなのです。
一人で仕事をしていると、あまりやる気が湧かないといったときに、なかなか打開策が見つからないもの。しかし仲間と机を並べたオフィスであれば、他人の目や仲間からの声がけなどによって、やる気を取り戻しやすくなるわけです。どんなに通信環境が整っても、やはり仲間同士が集まって仕事をするほうが、モチベーションを維持しやすいということなのですね。


